北岸ズクナ師

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NZの学校教育費に驚く

何をするべきか、何をするべからずかグダグダ言う前に、まず先立つものをなんとかしろよ。

図録▽学校教育費の対GDP比(国際比較)

日本は第25位と学校教育費の対GDP比の水準は低い。ただし、私的負担の比率は対GDP比で1.2%となっており、低くはない。逆に公的負担の比率は3.5%と低く、ギリシャを除いてOECD最下位となっている。

口を出したかったら、もっと金だしたら?

404 Blog Not Found:News - ガキにはケータイ持たせるべからず言う前に



DANさんのサイトを見て、「おっ!NZ頑張ってるじゃん!」なんて思ってしまった。と同時に、「おっ!NZの父ちゃん母ちゃん達も頑張ってるじゃん!」と。

NZでは、地域を社会経済状況で1から10のDECILEと呼ばれるもので分けていて、10の学校には教員の給料ぐらいしか政府から支払われていないんじゃなかったかな。あとはドネーションと呼ばれてはいるがやや強制の費用を毎年支払い、それでも足りない分は fund raising と言うが、保護者が協力しあってお金集めをする。DECILE1の学校だとドネーションはない。全部政府持ち。NZは、塾や家庭教師は日本ほど普及していないから、このドネーションの分や私立の学校、全寮制の学校などが私費負担の数字に含まれているのかなと思う。
因みに今の住まいの最寄りの小学校はDECILE1(おいおい)、次に近い小学校はDECILE10という貧富の差の激しいところに暮らしている。そのDECILE10の学校には温水プールがあって、民間の水泳教室に貸し出しているが、DECILE1の学校にはプールがあるのか知らない。とりあえず通りからは見えない。
うちの娘が通っているのは3.5kmほど離れたところにある小学校で、学区外からの通学となる。そこはDECILE9。

毎年真っ先に、予算削減でカット対象になるのが、「学校の図書室」(ライブラリアン)、理科の専門の先生、音楽の先生、そしてリーディング・スペシャリスト(読むことが遅れている子供を特別にケアする先生)である。もう、ほとんど毎年恒例の話。

「税金を上げろ」という住民運動 - Tech Mom from Silicon Valley



そのDECILE9の小学校には、司書はいない。図書室の管理は保護者がボランティアでやったりしている。理科の専門の先生、音楽の専門の先生はいない。もう少し遠くのDECILE10の学校には音楽の先生がいて、器楽も教えてくれるが、娘の行く学校では、例えばハーモニカや縦笛のような、日本では全員必修という位置づけの楽器はない。普通の先生がたまに歌や楽器を教えてくれる。去年の前半まではリーディング・リカバリーの先生がいたが、生徒数が増えて、新設クラスの担任になった。娘の通う小学校は、英語圏以外出身の移民が多いので、ESOL (English for speakers of other languages)の教師は専任で確保。プールは建て替えたばかりでヒーター付きだが屋外という、民間に貸すにはイマイチな条件。毎年のドネーションは190ドル(3月末までに支払えば165ドルに割引)、約15000円。これ以外に文具代や遠足代などがかかる。こんな状況だ。私費負担分の多くがプール建設に消えている気がしないでもないが、その割に、授業で水泳をろくに教えてくれないので、教えてもらうには専任の講師を雇うべく、更なる出費が必要になるのだろうか。学校はあてにせず、親が教えるかスイミングスクールに通うというのが多数派だ。

2番目に最寄りのDECILE10の小学校だとドネーションが300ドルを超えるが、遠足代などが全部込み。橋を越えて、赴任族が多い裕福なエリアに行けば、同じDECILE10でもドネーションが400ドルだの500ドルだのというところもある。

公的支出分の教員の給料が北欧に次ぐぐらい高いのは、なぜだ?1クラスの人数はもちろん日本より少ないので教員の人数はそれなりに必要になる。娘のクラスは20人ちょっとだと思うが、30人位いる学校も市内にあるらしい。劇的な少人数クラスというほどではないが、教員が体調を崩して休んだり、研修等でいなかったりすると、リリーフティーチャーが必ずやってくる。高学年でも「プリント配るから、これやっといてね」とやりたい放題の自由時間をもらえたりしない。なので、そういう人件費もきっと公的支出分だろう。

給料は、NZとしては平均所得という感じだが、もう少し良くてもいいと思うことしばしば。特に中高生あたりを相手にする先生は、命がけだわ、親の期待は巨大だわで大変そうだ。留学生の面倒もみなくちゃいけないし。あと1年生の担任も幼稚園の延長のノリの5歳児ばかり20人も面倒を見るなんて、激務だ。
公立校は、民間企業のような成果主義はないだろうからインセンティブに欠けると思うし、好景気に沸いたこの数年は不満も多かったかと思うが、不景気だからとリストラにあう心配がないことを考えれば、今の日本の左うちわ公務員のような思いをできる日がこれからやってくるのだろう。

それはさておき、NZでは「税金を上げろキャンペーン」という話は、まだ聞いたことがない。
author : zukunashi | comments (0) | trackbacks (0)

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